日本市場を狙い始めたイスラエルスタートアップとのビジネスチャンス
- by yuta iguchi
- 2023年7月29日
- 読了時間: 5分
イスラエルと日本間のビジネスをサポートしてきた7年間の経験から、これまで米国や欧州市場の開拓とそこでの事業拡大を目指していたイスラエルスタートアップが、なぜ今、日本市場を狙い始めたのか。そして、日本の大手企業だけではなく、中小企業、実業家や起業家にとってのビジネスチャンスについて、僕の意見をまとめてみました。

理由は、次の2つがあると考えてます。
イスラエルが日本市場を狙い始めている2つの理由
①資金調達源
資金調達の難しさや世界的な経済の影響により、資金調達源としての日本市場の魅力が見直されていると感じてます。 これまでイスラエルスタートアップやVCは、主に米国などから資金を調達してきました。
しかし、2021年の世界的な経済情勢やイスラエル国内でのスタートアップバブルの後退により、資金調達が厳しくなってきています。
そんな背景から、イスラエルのスタートアップやVCも日本市場に目を向けるようになってきていると実感してます。
日本の大手企業はキャッシュリッチであり、資金調達の新たな可能性と捉えられています。また、日本市場は世界第3位の市場であり、イスラエルVCのポートフォリオであるスタートアップの市場拡大のサポート体制を整えるために、日本企業からの戦略的LP出資は非常に魅力的になっていると考えます。
実際にイスラエルVCの活動が日本で活発になってきています。
②市場拡大
イスラエルスタートアップは、これまで世界市場を視野に市場開拓や事業展開をしてきてはいるものの、日本市場への注目は限定的でした。 日本市場は魅力ではあったものの、言語の壁はもちろんのこと、factとして、市場参入や事業開始に時間が掛かることを理由に、米国や欧州市場を優先してきました。 しかしながら、最近では資金調達の難しさや世界的な経済の影響により、新たな市場を開拓することの必要性が高まっています。 そんな背景から、日本市場の魅力が見直され、日本が世界第3位の巨大市場であるという事実が再認識され始めてます。 イスラエルスタートアップにとって、日本市場は今後の成長において、非常に重要な市場の一つになると考えます。
次では、イスラエルスタートアップが日本市場にシフトしている実際の動向と事例を紹介します。
日本市場にシフトしていると考えられる動向と事例紹介
・イスラエルスタートアップの日本進出への興味が倍増
これまで日本企業をサポートする立場から、日本企業とイスラエルスタートアップ間とのビジネスサポートをしてきた弊社ミリオンステップス社ですが、実は、最近は、イスラエルスタートアップからの日本進出支援依頼の問い合わせが急増しています。 問い合わせは、イスラエルスタートアップから直接依頼がある場合もあれば、イスラエルの金融機関やVCなどから紹介を受け、依頼されるケースもあり、様々なタッチポイントからの依頼が増えており、日本市場への興味が高まっていることが実感できます。
・イスラエルVCも日本に目を向けている
これまでイスラエルのVCが資金調達源として米国や欧州に依存していた状況が変わりつつあります。
また、金融危機以降の脆弱性や銀行セクターの混乱により、日本市場に力を入れる動きが活発化しており、日本での資金調達アクティビティのサポート依頼の相談も最近多くなってきています。
・イスラエルの主要な経済メディアCalcalistも日本に注目
イスラエルの主要な経済メディアであるCalcalistが、イスラエルのイノベーションを世界と結びつけることを目的に、ニューヨーク、ロンドン、ベルリンなど世界各地で毎年開催しているイベントのアジア初の開催地として選ばれたのが、日本でした。 このイベントは、2023年5月に東京の虎ノ門ヒルズフォーラムで開催され、イスラエルからは200名近くのイスラエル人がこのイベントのために来日しました。 Calcalistとしても、イベント開催を通じて、日本とイスラエル間のビジネスの発展に貢献できると考えており、日本でのイベントも毎年開催すると大々的に発表してます。
上記から、日本の大手企業だけではなく、中小企業やスタートアップにとっても、イスラエルスタートアップとのビジネスチャンスは大きく広がっていると考えています。
次に、個人的に考えている具体的なメリットをまとめてみました。
日本の中小企業やスタートアップにとっての具体的なメリット
・イスラエルスタートアップやVCへの出資チャンス
イスラエルスタートアップやVCは、従来、米国や欧州から資金調達をしていましたが、日本市場が新たな資金調達源として注目されています。 日本企業、大企業だけでなく、中小企業のキャッシュリッチな側面が、イスラエルのスタートアップやVCにとって魅力的な資金提供先と考えられ始めているので、今まで日本企業のスピード感(世界の意思決定などのスピード感と比較すると遅いと見られています)では、出資しずらかったイスラエルスタートアップやVCへの出資チャンスが、新たに生まれてきていると考えています。
・市場拡大の機会
イスラエルスタートアップは、すでに米国や欧州での市場拡大は果たしたものの、売上に伸び悩んでいるケースもあります。 日本市場は、世界第3位の市場であり、新たな資金調達が難しい中、新たな顧客層を獲得し、売上を向上させるために、重要な市場と見做され、今まで以上に日本企業、大手企業に限らず中小企業との協業の可能性が高まってきていると考えています。 これは、日本の中小企業、実業家そして起業家にとっても大きなチャンスになると僕は考えています。
上記でまとめたように、個人的に日本とイスラエル間のビジネスチャンスに、大きな可能性を感じています。 もちろん、政治的な課題はあるものの、イスラエル国内や海外とのビジネスへの影響は、非常に少ないと考えています。
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